第十回 神杉酒造株式会社(愛知県安城市)

「地元を大切に地酒の個性を出す」
17代目社長 杉本 多起哉 氏


創業1805年。

愛知県下屈指の農業都市・安城市。豊な恵みを育み続けるこの地の酒米を100%自家精米し、個性を持った日本酒を生み出しています。安城産酒造好適米「若水」、安城に流れる矢作川の伏流水を原料とし全てが地元安城にこだわった本物の「地酒」を追い求めています。

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Interviewee:社長 杉本 多起哉 氏(以下 杉本)

Interviewer:美宴 吉田 綾子(以下 美宴)

美宴: 17代目社長とは!本当に長い歴史を代々守られ、受け継がれているのですね。

杉本: 江戸時代の創業当時は豊田でしたが、安城に移ってきました。

安城は日本のデンマークと言われていて、昔から農業の盛んな地域なんですよ。

災害が少なく農業には向いているんです。

米の生産も多く、酒米「若水」を多く作っている地域でもあってね。なので、

うちは山田錦での造りをやめました。

美宴: 日本酒の定番米である山田錦をやめるとは興味深いですね。

杉本: 地産地消を大切にしたくて。

若水は心白が大きくて、昔は60%しか削れないから、味がどうしても濃いものになってしまう。

だから、行政の協力も得ながら、山田錦と若水のいいとこ取りをして、

改良研究されているのが夢吟香という酒米になります。

美宴: なるほど。昔からの地産地消を大切に。

農家さんと酒造りのつながりを大事に、行政に物を申せる蔵元さんは貴重ですね。

杉本: たまたま、こういう安城という環境にいるからかな。

できることはやろうと思ってます。

米農家さんたちは、

自分たちの作ったお米で醸された日本酒を飲みたいというので、

最近では各蔵元さんから、

出来上がったお酒を持ち寄って勉強会も開いています。


美宴: 自分たちが育てたお米をお酒として味わうだなんて最高でしょうね!

杉本: 安城の農家さんはプライドが高いから、良いものが多いですよ。高品質です。

美宴: 神杉さんのHPでも、お米と水へのこだわりがしっかり伝わってくるものでしたね!

杉本: うちは自家精米から造りをしてます。

そうすることで味に納得できるんですね。全ての段階を把握する。

精米歩合を変えたりすることで、同じ米でも、どのように表現していくかを楽しんでます。

ある意味遊んでいるんだけどね(笑)

美宴: 消費者の方々には何を伝えたいですか?

杉本: んー、まだまだPR不足なんです。

最近ではメディアに取り上げてもらうことも多くなり、知名度を上げていくことが大事かなと感じてます。

まずはうちを知ってもらう。蔵開きをしたり、イベントに参加したりね。

美宴: 神杉酒造さんが大切にされていることは何ですか?

杉本: よく聞かれる質問だけど難しい(苦笑)美味しいのは当たり前。

だから、大切にしているのは、感動する酒を造るということかな。

蔵のカラーや特徴を出すことに徹してます。人によって好き嫌いがあって良いし、

同じ米でどれだけパフォーマンスできるか。色々な酒を造ってます。

美宴: 個性があるのは大切ですね。

今後、神杉酒造さんはどのようになっていきたいですか。

杉本: これも非常に難しい質問ですね(笑)

どこの蔵元さんもそうだと思いますが、

地元に愛されるようにPRをしながら、社会的に認められたい。

地方では知名度があるとも言われるけど、地元でもっと知られたいですね。

10年前から蔵開きをしてるんですが、敷居が高いと言われたこともあって、

もっとオープンで親しみやすい蔵になりたいですね。

色々なことを言われたりもするけど地道な活動を続けるようにしています。

美宴: 続けていくことが素晴らしいですね!

日本酒とはどのようなものだと思いますか。

杉本: 最近では、消費者が外国人だったり、20代の女性だったり。

新しい視点で日本酒を楽しむ人たちが増えてきている。

結局お酒と料理の相性は感覚で、人それぞれ。正解はない。

固定概念なく、自由に楽しめば良いと思う。

ミスマッチと思われるものでも、新しい発見をしながら楽しむものであれば良いと思う。

美宴: 同感です。国と文化が違えば、合わせるお料理が違ったり、感覚が違ったり!

私も活動を通して、新しい発見に驚くこともありますが、それも日本酒の魅力だと感じています。

ありがとうございました。



杜氏 野々垣 高雄氏のインタビュー記事はこちら

bien - 美宴

「和」を世界へ 多種多様な価値観を受け入れ、 伝えることの大切さを感じ、 日本酒を始めとする日本文化の魅力が少しでも多くの方々へ届くよう願いを込めて、 人の和、日本の和を広めていきます。