第四回 石川酒造株式会社(三重県四日市市)
「湧き出る軟水が六代継承してきた証」
代表取締役 兼 杜氏 石川 卓史 氏
1825年創業、鈴鹿山麓の麓に位置する酒蔵。
お酒の命とも言える仕込み水には豊かで滑らかな伏流水を使用しており、豊穣の米と清冽な水……そして、円熟の技のハーモニーが育てた、その名の通りの『湧き出たばかりの湧き水のごとく爽やかな喉ごし』をほこる酒。自然水で仕込み、醸した、やわらかな酒。
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Interviewee:代表取締役 兼 杜氏 石川 卓史氏(以下 石川)
Interviewer:美宴 吉田 綾子(以下 美宴)
美宴: 石川さんは酒造りで、どのような想いを大切にされていますか?
石川: 日本古来の日本の伝統に根ざした、
現在脈々と何百年続いてきているものですから
私としてはそれを大事にして伝えていきたいと思っております。
美宴: 石川さんはもうすぐ200年、すごい歴史ですよね。
石川: うちなんかは、私で6代目ですが、
200年以上、300年続いているところもありますからね、
その中では大したことないですが。
古来から続いてきたものと、今の時代に合わせたもの両方を
みなさんに飲んでいただかなくては、
そこは従来のものにこだわっていてはいけないなと。
美宴: 石川酒造さんのお酒の特徴を簡単にまとめていただくと?
石川: やさしいお酒。端麗な味わいです。
飲んでいただければわかると思いますが、水が優しく軟水。
ですから水の特徴がお酒にも出ていると思います。
女酒という表現があるじゃないですか、うちはそうゆうタイプのお酒です。
(お水を見せながら)
昔のお酒、未だ脈々と続いているという証拠がこの水なんです。
美宴: 水が変わっていないからこそ守られている伝統ですね。
水の力ってすごいですね。偉大な力というか。
味にここまで影響してくるんですね。
本当においしく軟らかなお水ですね〜。
美宴: 今後どのようなお酒造りを目指していますか?
石川: 今の所、地元に根ざした形ですが、
今後はいろいろな所で飲んでいただけるようなお酒を
目指していきたいとは思っています。
美宴: 日本酒の国際化と言われていますが?
石川: まだ始めたばかりですが、
シンガポールに出したりとか、
少しずつ海外進出を始めたところです。
最近はやっぱりいろいろなお話がありますね。
美宴: 日本人の今は、日本酒離れというか、
海外の方の方が歩み寄ってきてくださるという部分がありますよね?
石川: そうですね、海外の方は何もなく白紙で飲まれるじゃないですか。
そうゆうところから飲んでいただきたいですね。
美宴: 世界の方々に、銘柄問わずということですよね。
飲んでもらうためにはどうすれば良いと思われますか?
石川: そこはどうでしょうね。
PRも大事ですけど、最近麹を変えたんですよ。
去年、一昨年くらいから。
その効果が少しずつ出てきまして、
昔のキレだけじゃない味のあるお酒にしているんです。
飲みやすいんですけど、よく言えば軽い、
悪く言えば、ちょっと薄いなって感じでしたので、
去年、一昨年から味を乗せるようにして、
その効果が出てきました。
深みを出すために、麹を変えました。
美宴: なるほど!
だんだんみなさんに気に入っていただける、
今の時代に合わせた味になってきたんですね。
石川: なってきたと思います。
今年の名古屋の鑑評会、というか今までは鑑評会は出さなかったんですよ。
うちのお酒は秋に出しても味が乗ってないから、あまり評価が高くないのです。
ですけど、今年は出しました、味を乗せたんで。
そしたらやっぱり評価をいただけて
純米も本醸造も優等賞をいただいきました。
美宴: おめでとうございます!
毎日の蔵の作業で一番大変だと思われる部分はありますか?
石川: どれも大変ですけどね。
一番大事なのは行き着くところは、お米洗いと。
ここのところわかってきたことは、
蒸米の加減ですべてが決まりますね。
今年はゼロから見直しました。
まずは甑を乗せるところから。
そこにはパッキンが置いてあるので、
そのパッキンの状況からもう一度見直しましたね。
美宴: そんな細かいところまで見直されたのですね!
石川: 結局そこで上手に蒸せるかどうかで、出る蒸気が変わったんですよ。
そうすると蒸し時間も変わってくるんです。
普通蒸すと釜の上に乗っかっているじゃないですか。
だけど蒸気が漏れたりすると中に充満するんです。
一番いいのは、蒸気がスーっと抜けることです。
それが今年はうまくいっているんで。
これで果たしてどうゆうお酒になるかが楽しみです。
美宴: お米洗いも大変だと言われましたね?
石川: どうやったお米がよく洗えて、
水がよく抜けるかというのもそれなりの工夫はしています。
いかに水がよく切れてべたっとならないか。
果たしてそれが効果が出るかわかりませんが。
美宴: その試したことの結果が、
何ヶ月後かに成果として出来上がってくるのですよね。
逆に酒造りに携わっていて一番好きな部分、楽しい部分は何ですか。
石川: 絞った時のお酒がどうなんだろうと楽しみになりますね!
美宴: ちょっとここを改善してみたところがどう味に変化があるのか楽しみですね。
石川: どう変化があるかとか。
去年は悪い方に出たらどうしようかと思っていたんですけど、
よく技術者関係の人に相談してみるとあまり変えすぎてはダメだと。
うちの味が好きな人がいるわけですから、
それらの方が離れても困るんで
私も極端な変わり方はしないようにとはしています。
美宴: 最後に、一般の方に何を伝えたいですか?
石川: とにかく飲んでください!(笑)
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