第三回 勲碧酒造株式会社(愛知県江南市)

「大切なのはチームワーク」
代表取締役 兼 杜氏 村瀬 公康 氏


「勲たて 澄む碧空や 真かな」

水と酵母にこだわる酒蔵。仕込水は地下百米を流れる木曽川伏流水を一切加工せず、自然のままに使用。 酵母は控えめな奥行きのある香りと、深い味わいを醸し出す十号酵母のみを使用。1915年創業、尾張江南の酒蔵。 

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Interviewee:代表取締役 兼 杜氏 村瀬 公康氏(以下 村瀬)

Interviewer:美宴 吉田 綾子(以下 美宴)


美宴: 日本酒とはどのようなものだとお考えですか。

村瀬: 日本の伝統、文化の一つという感じでしょうかね。

美宴: それをみなさんにどう感じていただきたい、または蔵元としてどのように発信していきたいですか。

村瀬: そうですね、現場を見ていただくのが一番です。

地域の小学校、中学校の小学生、中学生がよく見学に、職場体験にきますね。そういうことは積極的に受け入れて、なるべく説明してます。

美宴: まさに伝統と文化のリアルな勉強というか学びにつながりますね。

日本人の幼い教育としてこの文化を伝えていくというのはとても大事だと思います。

よく蔵開放もされているみたいで。

村瀬: そうですね、蔵開きや試飲会、試飲会は販売が主ですが。

4月の半ばの酒蔵開放は蔵の中ものぞけるようにやってます。蔵開放をするようになってから、見たい人がこんなにいるんだなあということもわかりました。地元の方も見に来てくださるし、結構遠くからも見に来てくださったり。

実際にうちのお酒を好きで飲んでくださってる方の

ご意見とか感想とかを聞くことができるので励みにもなりますし。

蔵開放を始めた時に、地元の方でも一度来てみたかったとか言われ、初めて興味があったんだなと知りました。

美宴: 素晴らしいですね。生の声は本当に励みになりますよね。また、ファンも増えたり。

村瀬: 増えたと思います。

美宴: 作り手さんの顔が見えるというのが一番大きいとおもいます。

どんな方が作られているのかとか、村瀬さんのお人柄だったり。そういったものを感じられてのお酒だと思うので。

村瀬: 全体の雰囲気もありますよね。うちはパート中心で家内のママ友とかが世話をしているんで、

プロが全体じゃないから、でもそれがいいからっていう方が来られる。あまり玄人肌にすると難しくなるので、そこがまた日本酒の近寄り難いところの一つなので、うちの蔵はどちらかというと相手をする私たちもどちらかというとアットホームな感じにしてますね。

こだわりを聞きに来てくださる方もいらっしゃるので、そういう方にはそれなりに対応はしますけど。

美宴: 人柄や雰囲気など、全てを感じて日本酒を味わうとのではまた全然違いますね。

村瀬: そうですね。

蔵開きはちょうど桜の時期ですので、ここの五条川桜を帰りにのぞきに行かれたり。

五条川の桜酵母のお酒もちょうどその時は出来上がりの時期なんで、それも試飲してもらったり、販売したりしますね。

美宴: 今後、勲碧さんとしてはどのようになっていきたいですか。

村瀬: 作りも出来るだけ増やして、いいものを作っていきたいですけど、

継承していくことも大事なので次の世代へなんとか負担にならないようにつなげていければと。

美宴: 勲碧さんが大切にしていることはなんですか。

村瀬: 正直に清潔に間違いなくという感じですかね。

なるべくコツコツと地道にやっていって間違いないものを。清潔という観点では、蔵の中もかなり整理整頓されてきたんで、昔に比べたらだいぶ違ってきたんじゃないかなあと思います。

美宴: 村瀬さんは社長さん兼杜氏さんということなので、酒造りのことに関しても少しお聞きしていきたいのですが、

お酒造りに携わったきっかけはなんですか。

村瀬: 平成8年まで新潟の上越から杜氏がチームで来てくださっていたんですけど、

ご高齢ということもあり辞められたことがきっかけですね。

美宴: 毎日の業務で大変なことはなんですか?

村瀬: 朝早く起きるということもそうですし、力仕事もありますしね、

あとは作業の段取りを組んでその通りに進めていくということかな。人の手配とか。それがちゃんと出来ないと杜氏もやれないですから。一人では作れないですからね。

美宴: 逆に毎日のお酒造りで楽しい部分はなんですか。

村瀬: 一緒に作っている仲間と楽しく会話したりそうゆう点でしょうかね。

作業をいろいろ考えていくこととか。

美宴: チームワークですね。人を大切にされていますね。

大変なことも楽しいことも人という。

村瀬: そうですね、

チームワークが大事だと思います。

人に恵まれています。



美宴: 今後、一般の方々や消費者の方々に何を伝えていきたいですか。

村瀬: 日本酒、伝統を守っているものが近くにあるんだということを知っていただきたい。

地域の小学生、中学生、高校生、一般の方に蔵を見学していただいたり、学校の町探検だとか社会見学は積極的に歓迎してます。特に麹文化などの、日本ならではの文化を伝えていきたい。

美宴: 大切に守っていって欲しいですよね。伝統ある味噌とか日本酒とか。味醂もそうですし。

村瀬: 岩倉の方で、地元で夢吟香を作られて、そのお酒のラベルを岩倉総合高校のデザイン科の子がデザインしてくれ、

販売をしたら好評でした。今年もそのような形で地域も巻き込んでいきたいです。そして、日本酒を全然わからない方に伝える方法。どうすればわかりやすく伝えれるかを考えています。子供は感受性も強く、最近なんかは小学生でも1年前のことをちゃんと覚えていたりします。

美宴: 興味を持ち、酒造りが将来の夢になってくれる子供達が出てきたら嬉しいですよね。

村瀬: 酒造りもそうですし、他へ行ってもいいですよね、作るっていうことが面白いんだと思えば、

いろんな物作りありますからね。

美宴: ほんとに先ほどおっしゃってた継承や、文化を守っていくという思いがきっと地道に伝わってると思います。

私は海外の方を相手に日本酒を伝えていますけど、銘柄関係ないところで日本酒ってなんなの?という目線で見てくださっています。作りはどうなっているの?とか。基本的な部分、文化の部分で日本酒を見てくださっているので、伝えていくのは本当に大事なことだと感じています。

村瀬: 「酒旅」ってBSでやってますよね。時々見るんですけど、自分の蔵から半径何キロ以内で米作って、

ワインでいうテロワールですか。自分もそれに似たように

地元の農家の方と協力しあっていきたいと思っています。

農家さんも自分の米で作る酒を見たいと見学にも来られますし、交流も深まります。

美宴: 今日お話を聞かせていただいて、勲碧さん酒造さんは人間関係をすごく重要視される蔵元さんだと感じました。

お米作りからお酒造りまで全てを通じて、人を大切にされているからこそ物作りがあると感じました。

ありがとうございました。


bien - 美宴

「和」を世界へ 多種多様な価値観を受け入れ、 伝えることの大切さを感じ、 日本酒を始めとする日本文化の魅力が少しでも多くの方々へ届くよう願いを込めて、 人の和、日本の和を広めていきます。