第二回 原田酒造合資会社(愛知県知多郡東浦町)
代表 原田 晃宏 氏
「日本酒を魅せるには演出!」
徳川家康公御生母“於大の方”生誕の地、東浦にて1855年(安政二年)から続く酒蔵。
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昔ながらの杉の甑(こしき)で蒸し米をふかし、醪(もろみ)を成熟、搾りで『槽(ふね)搾り』といって酒袋を積み上げていく、昔ながらの方法で終始一貫した心のこもった『手造り』をされています。
四代目原田晃宏氏にお話を伺いました。
Interviewee:代表 原田 晃宏(以下 原田)
Interviewer:美宴 吉田 綾子(以下 美宴)
美宴: 原田さんが酒蔵として、一般の方々に伝えていきたいことは何ですか?
原田: まず日本酒を飲んで美味しいというのが第一番なんですけど、
世の中いろんなお酒がありますので、飲む場面、場面があるじゃないですか。何かいいことがあって楽しい場面で飲むときもあれば、イラッとして飲んでるときもあるでしょう。いろんなアルコール飲料がある中で、日本酒にしかできないことはないんですけど、
人が集まって楽しくなる、食事したり楽しくなることを日本酒で演出できたらなあと思います。
美宴: 演出ですね。
原田: かけつけでビール一杯飲みましょうってビールを飲みますよね!
あれって美味いかと言われたらどうかなあって思うんですよ。
仕事して疲れてる、あるいは暑いとき、そうゆうときに爽快感はありますよね。それでも、十分な演出してますよね。日本酒はというとなかなかそうゆう演出する場面はなくて、私たちの努力不足かもしれませんが、反省点でもあります。
人が集まって飲むのが楽しいなあと伝えていきたいですね。
美宴: 日本酒は今後どのようになっていってもらいたいと思いますか?
原田: われわれ日本人が昔から造り上げた技術ですし、お米というやはり日本の気候、味覚にあったものを先人たちから
造り上げてきたものですから、世界中、いろんな国の方々に伝えていきたいですね。
日本としていいものを伝えていきたいです。
美宴: 日本全体としてですね。すばらしいです。
日本酒は、どのようなものだと思われていますか?
原田: やはり、人と人を結ぶコミュニケーションの一つですよね。
美宴: 本当にそれが人と人を結ぶ和であり、日本の和であるという感じですよね。和とはどのようなものだと思いますか?
原田: 人の和もあれば、日本古来からの和もありで。
美宴: 現代化が進む社会で、昔からの日本の和とのバランスをどのようにとっていけばいいと思われますか。
原田: 酒屋ということで古い業界ですよね。うちがことしで創業161年になるわけなんですけど、酒造業界の中では
決して古い方じゃないんですけど、異業種も含めるとかなり古い業界になるじゃないですか、よく蔵元が伝統とか格式とかこうゆう言葉を口にしますよね。では、それっていったいなんなんだろうっていうときに、やっぱり古いものをひたすら守り続けていくだけだと長続きしない。
いいものは残しつつ、そこに新しいものを上に積み上げていかないと長く生き残っていけないと思います。
一時期、私どもも大手さんの下請けとしてやった時代もありました、そのころ、大手さんの酒を造ったからダメになったと言われる方もいるんですよ。しかし、一つの時代の流れとしては仕方ないことだと私は思うんですよ。あの時代って、今ほど機械の方が進んでいないですから、大手さんが量産できないんですよ。量産しようと思うと、建物や人の数を増やすしかないんですよ。ものすごく効率が悪いんですよ。それで外注にだすわけですよ。それで、戦後の高度成長期があって、東京タワーなんかもそうですけど、建築ラッシュになるじゃないですか、昼も夜も働かれた肉体労働された方々が仕事が終わって飲むわけじゃないですか、それでこの国が発展していくわけです。業界そのものは成長しているわけですから、否定もしませんし。今ほどお米の方も豊かではありませんでしたから、いかに少ないお米の量から一滴でも多くお酒を作るかという技術の革新はしていますからね。あれはあれで積み上げたわけですから。まあ、自分のところを革新していくっていう意味では少し出遅れてしまったかなあという気はしますが。
そうゆう時代があったのは確かなんですよ。今度は、地元の観光地ですから、自社のブランドで勝負できる酒を造って、国内外のお客様に提供していく時代では。
私どもの愛知の酒をもっともっと出していくというのがテーマです。
国内に確実に日本酒を飲む層がどこにあるか。まず海外から来る外国人です。また昔から比べると女性の飲む頭数は増えてますよ。女性の方々は、いいものを食べながら日本酒を好んで飲んでらっしゃいます。そうゆう方々が集まるようにお店もやっていかないといけないですし。
美宴: 今、中部9県が一団となって取り組まれる昇竜道に対してはどのように思われていますか?
原田: 今までになかった取り組みですので、
外国からの観光客を迎え入れようというね。
蔵元と観光協会、商工振興会がセットでという取り組みが非常にいいと思います。町が対応しなきゃいけないという状況、した方がいいよねという捉え方が始まりましたよね。
美宴: 昇竜道のこともそうですけど、
日本人の方が日本のことを知らなかったり。
外国から、昇竜道どこですか?って目指してきても、昇竜道ってなんですかって?っていう状態だったり。
講演の中でもお話させていただいたんですけど、どうして日本人はあまり日本酒を飲まないの?という外国からの目線。どう思われます?
結局、日本人は昇竜道を知らない、日本酒を飲まないとなると元から広がっていかない、素敵だよねっていうところがアピールできないと思うんです。
原田: そうゆうイメージをつけないとね。
フランス人なんかワインばかりを飲んでいるようなイメージを持ってしまいますよね。
美宴: ドイツに旅行にいくとドイツ人はビールばかりを飲んでいるのを見かけるじゃないですか。
かっこいいなあなんて思いながら、日本人はまたそれに感化される。
原田: そうゆう、来た人から見てカッコイイなあと思わせないとね。その演出がいりますよね。
美宴: どこに行っても、誰も日本人はシャンパン、ワインばっかりを飲んでいて日本酒どこで誰が飲んでいるの?っていう
ような状態だと日本酒を一生懸命広めていこうという取り組みをしても、見せれない。実際飲んでなかったら伝わらないと思うんです。
原田: ましてや外国人の方が日本に来て観光地にある和食屋さんでもそうですし、
京都あたりではフランス料理の店が増えているじゃないですか。ワインの品揃えは結構いいわけじゃないですか。日本人に対してのアピールは確かに上手にやるんですけど、あのわんさかいる外国人の方に、フランス人がわざわざ日本に来てフランスの何倍もする値段のワインを飲むわけないですし。
美宴: 本当にその通りです。
せっかくだから、本当にいいものを。昔ながらの居酒屋さんにも外国人の足が運ぶような流れになってきたので、やはり日本酒にもこだわってほしいなあと。
原田: また、外国人の方がよく調べてますからね。
美宴: 本当にそうですね。
日本酒に対する思いも日本人が今まで何百年ってきた流れと多少変わりつつあるんではないかなあと。
原田: 私もよく口にしますよ、やっと芽が出てきたって!
これまでは海外からくる情報などなかったですからね、国内だけのものすごく狭い世界でしたからね。
IWCでブロンズをとりまして、今度はシルバー、そしてゴールドというように上を狙っていきたいですね。
一般の方にはアピール力は弱いですけど、バイヤーへのアピールは強いですからね。
美宴: 今までのファンも大切にしながら、私もお力になれるよう広めていきたいと思います。
ありがとうございました。
杜氏 今泉 氏のインタビュー記事はこちら
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